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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第159回 「どこからともなく出てくる」

come out of the woodwork どこからともなく出てくる

After talking about my weight loss plan, many of my friends came out of the woodwork to offer advice.

(ダイエット計画を話すと、多くの友人たちがどこからともなく出てきて私にアドバイスをしようとしてきました。)

come out of the woodworkは「突如としてどこからともなく出てくる」です。他にも「意見を述べようとして突然姿を現す」という意味もあります。

woodwork自体は「木工品、木材工芸」です。なぜ「ぞろぞろ出てくる」という意味になったかと言いますと、家の中に突然、どこからともなく虫がわいて出てくるからだそうです。確かに「一体どこから?窓は閉め切っていたのに」ということがありますよね。

ちなみにサッカー用語でwoodworkは「ゴールポスト」を指します。スポーツニュースがCNNでもよく出てくるのですが、英語は同じ言い回しを避けるため、goal postを使うと次はwoodworkという具合に類語を用います。kick the ball into the back of the netは「ボールをネットに押し込む」、つまり、「ゴールを決める」という意味です。

ところでwoodと言えば、ロックフェスティバルで有名なWoodstockはアメリカ・ニューヨーク州の東部にあります。実はイギリスのオックスフォード近郊にも同名の街が存在します。そこに住む知人が「ロックフェスがあると勘違いしてウチの近所に観光客が来た!」と言っていたことがありました。ロックフェスが各地で行われる夏になると、このエピソードを思い出します。


第158回 「一連の」

a battery of ... 一連の~

Reporters have asked a battery of questions to the President.

(記者たちは大統領に一連の質問を投げかけました。)

a battery of ... は「一連の~」という意味です。他にもa batter of cameras(カメラの放列)、a battery of cooking utensils(料理道具一式)、a battery of tests(一連のテスト)などの用法があります。

batteryは「電池、バッテリー」のことで、語源はフランス語のbattre(ぶつ)です。他にも「砲台、(野球の)バッテリー、歩兵中隊」などの意味があります。日本語のカタカナでは「バッテリー」の「テリー」を強く読みますが、英語の場合、baに強勢を置きます。

ちなみに「バッテリーが上がった」はThe battery is deadと言いますが、dead以外にもflatやgone、run downなどが使えます。また、「英気を養う」はrecharge one's batteryです。他には「打楽器部」という意味もあり、同じbatteryでも色々な用法があることがわかります。

ところで先日私はコードレス充電池型の掃除機と扇風機を買いました。どこにでもすぐ移動ができてとても楽です。もっと早く手に入れれば良かったと思えるほど、生活環境が快適になりました。良い家電に巡り合えると毎日が幸せになります。


第157回 「肉体的に大変な」

physically taxing 肉体的に大変な

Although I regularly go to the gym, I don't think I can lift that heavy object. That's physically taxing!

(定期的にスポーツクラブへは行きますが、あの重い物は持ち上げられません。肉体的に大変ですよ!)

taxingは形容詞で「精神的あるいは身体的に負担となる」ということで、今回ご紹介するphysically taxingは「肉体的に大変な」という意味です。taxing自体はdemandingの類語で、taxにingが付いたものです。18世紀ごろに誕生した語とされています。

tax自体は「さわって評価する」という原義があり、「ジーニアス英和辞典」によるとtaskと同じ語源だそうです。taxは名詞の「税金」などの他に「重い負担をかける」という動詞用法もあります。他にもThe children are taxing my patience today(今日は子どもたちが私をイライラさせる)という用例が辞書などには書かれています。

ところで私は長年フリーランスとして稼働しているため、毎年2月になると確定申告へ出かけます。これは英語でfinancial income tax returnと言います。そういえばトランプ大統領は大統領選の最中から「所得申告書(tax return)を公開していない」と非難されてきました。ちなみに6月半ばの時点でもいまだに大統領の納税についてはあれこれ言われているようです。もしかしたらこの話題自体が大統領にとってはtaxingなのかもしれませんね。


第156回 「有能な」

be on the ball 有能な、機敏な

Our new boss really knows about the industry. He is on the ball.

(私たちの新しい上司は業界についてよく知っています。彼は有能ですね。)

be on the ballは「(人が)有能な、機敏な」という略式表現です。他にも「油断のない」という意味があります。

私がこのフレーズに出会ったのは米軍放送AFNでした。日中のAFNにはDJのおしゃべりあり、ヒット曲ありで聞いていて飽きません。今回ご紹介したような口語表現は、単純な単語の羅列である分、意外と通訳現場で出てくると、全体の文脈から判断せざるを得ないような難易度もあります。ballから「有能」という言葉を連想するのは私の場合、難しかったので、より印象に残った次第です。

辞書でballを引くと熟語やフレーズがたくさん出てきます。たとえば「会話を率先して始める」はget the ball rollingですし、「話を続けていく」はkeep the ball rollingです。「ジーニアス英和辞典」(大修館書店、第5版)にはballの説明として野球のボールやテニスボールの英語表記を紹介しています。baseball、softball、footballという具合です。ところがテニスボールだけはtennis ballと一語ずつ話して表記するのですね。こうしたルールを知るのも学習者向け英語辞典ならではです。

ところでロンドンのグリニッジ天文台には赤い玉(報時球)があり、時報の役目を果たします。この玉を英語ではtime-ballと言います。


第155回 「忍耐の限度を超えさせるもの」

the last straw that breaks the camel's back (忍耐の限度を超えさせるもの)

To tell the truth, my daughter's rebellious attitude yesterday was the last straw that broke the camel's back.

(正直なところ、昨日の娘の反抗的な態度は忍耐の限度を超えさせるものでしたね。)

「忍耐の限度を超えさせるもの」を英語ではthe last straw that breaks the camel's backと言い、私が初めて遭遇したのはCNNのスポーツニュースでした。私はオンエア中、珍しい表現が出てくるとなるべくすぐにメモをするようにしています。本番中は辞書を引く暇がないため、どうしてもわからない時は文脈から推測して訳さざるをえません。その悔しさをバネに次につなげていくということを繰り返していくのです。ことばは無限にありますので、このようにして通訳者は学び続けていきます。

さて、なぜこのフレーズでは「ラクダ」が出てくるのでしょうか?実は「最後の一本のわらが重荷を積んだラクダの背骨を折る」ということわざから来ています。インターネットで調べたところ、語源はアラブのことわざ、旧約聖書、17世紀の表現などまちまちです。

ところでcamelを辞書で引くと「ヒトコブラクダ」はArabian camelあるいはdromedary、「フタコブラクダ」はBactrian camel、一方、ラクダの「鳴き声」はgrunt、「こぶ」はhumpです。また、ラクダは「従順、節制、愚かさ」などを象徴します。ちなみにhorseは「従順、高貴な動物」として重宝されていますが、同時に「好色、愚かさ」の象徴でもあるそうです。学習者向け辞典を読んでみるとこうした解説があるのが楽しいですね。



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。