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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第156回 「有能な」

be on the ball 有能な、機敏な

Our new boss really knows about the industry. He is on the ball.

(私たちの新しい上司は業界についてよく知っています。彼は有能ですね。)

be on the ballは「(人が)有能な、機敏な」という略式表現です。他にも「油断のない」という意味があります。

私がこのフレーズに出会ったのは米軍放送AFNでした。日中のAFNにはDJのおしゃべりあり、ヒット曲ありで聞いていて飽きません。今回ご紹介したような口語表現は、単純な単語の羅列である分、意外と通訳現場で出てくると、全体の文脈から判断せざるを得ないような難易度もあります。ballから「有能」という言葉を連想するのは私の場合、難しかったので、より印象に残った次第です。

辞書でballを引くと熟語やフレーズがたくさん出てきます。たとえば「会話を率先して始める」はget the ball rollingですし、「話を続けていく」はkeep the ball rollingです。「ジーニアス英和辞典」(大修館書店、第5版)にはballの説明として野球のボールやテニスボールの英語表記を紹介しています。baseball、softball、footballという具合です。ところがテニスボールだけはtennis ballと一語ずつ話して表記するのですね。こうしたルールを知るのも学習者向け英語辞典ならではです。

ところでロンドンのグリニッジ天文台には赤い玉(報時球)があり、時報の役目を果たします。この玉を英語ではtime-ballと言います。


第155回 「忍耐の限度を超えさせるもの」

the last straw that breaks the camel's back (忍耐の限度を超えさせるもの)

To tell the truth, my daughter's rebellious attitude yesterday was the last straw that broke the camel's back.

(正直なところ、昨日の娘の反抗的な態度は忍耐の限度を超えさせるものでしたね。)

「忍耐の限度を超えさせるもの」を英語ではthe last straw that breaks the camel's backと言い、私が初めて遭遇したのはCNNのスポーツニュースでした。私はオンエア中、珍しい表現が出てくるとなるべくすぐにメモをするようにしています。本番中は辞書を引く暇がないため、どうしてもわからない時は文脈から推測して訳さざるをえません。その悔しさをバネに次につなげていくということを繰り返していくのです。ことばは無限にありますので、このようにして通訳者は学び続けていきます。

さて、なぜこのフレーズでは「ラクダ」が出てくるのでしょうか?実は「最後の一本のわらが重荷を積んだラクダの背骨を折る」ということわざから来ています。インターネットで調べたところ、語源はアラブのことわざ、旧約聖書、17世紀の表現などまちまちです。

ところでcamelを辞書で引くと「ヒトコブラクダ」はArabian camelあるいはdromedary、「フタコブラクダ」はBactrian camel、一方、ラクダの「鳴き声」はgrunt、「こぶ」はhumpです。また、ラクダは「従順、節制、愚かさ」などを象徴します。ちなみにhorseは「従順、高貴な動物」として重宝されていますが、同時に「好色、愚かさ」の象徴でもあるそうです。学習者向け辞典を読んでみるとこうした解説があるのが楽しいですね。


第154回 「新たな基準を設ける」

set a new bar (新たな基準を設ける)

Many athletes have already shown that they are capable of setting a new bar in their performance.

(多くの選手たちは、自らのパフォーマンスにおいて新たな基準を設ける能力があることを既に証明しています。)

今回ご紹介するフレーズは、CNNの放送通訳現場で出てきました。医学とスポーツに関連するニュースで、「フルマラソンのタイムを2時間以内に収められるか」というものです。
 
barの語源は古期フランス語で、辞書を引くと名詞としての「カウンター、バー、棒」などの他に、動詞として「かんぬきをする」「阻止する」という意味があります。また、「弁護士業」「被告席」などの裁判用語や、音楽用語の「小節」という意味でも使われます。

上記以外にもset a high barやset a low barなど、基準の高低を表す形容詞も付けられます。「基準を上げる」はraise the bar、「基準を下げる」はlower the barです。

ところで最近はどの商品にもbarcodeが付いていますが、barcodeは名詞・動詞どちらでも使えます。たとえばThe products were barcoded(商品にバーコードが付けられた)という具合です。ちなみに日本の商品の場合、バーコードの冒頭2桁は45か49、イギリスは50から始まります。輸入食材店の商品についているバーコードを国別に比較してみるのも楽しそうですね。


第153回 「耐える」

take it on the chin(耐える)

It was my fault. I guess I have to take it on the chin for all the criticism.

(私のせいです。批判全部に耐えることが求められるのでしょうね。)

今回ご紹介するtake it on the chinを初めて耳にしたのはCNNで放映された北朝鮮情勢のニュースでした。4月半ばのことです。take it on the chinは略式表現で、「困難かつ不愉快な状況などにじっと耐える」というニュアンスを持ちます。

chinは辞書を引くと「下あご」と出ていますが、具体的には「あご(jaw)」の先端部分です。chinを使った表現は他にもあり、たとえばKeep your chin up!は「頑張れ!」という意味、一方rub one's chinは考え事などをする際の動作で、「あごをなでる」です。また、chinは動詞で用いることができ、バイオリンをあごに当てる際にもchinを使います。

ちなみに「あご」のjawも略式表現では「くどくどしゃべる」という動詞で使えます。noseも動詞なら「ゆっくり動かす」です。cheekはイギリス英語の口語で「目上の者に生意気な口をきく」です。こうして一つの単語をきっかけに、名詞なら動詞を、あるいはその逆をという具合に調べてみるのも、私にとっては楽しい作業です。


第152回 「大したことない」

It's not rocket science (大したことない)

Don't worry. You can do it. It's not rocket science!

(心配しないで。あなたならできるから。大したことないよ!)

rocket scienceは「ロケット科学」のことですが、上記のようにIt's not rocket scienceで「大したことない」という意味になります。It doesn't take a rocket scientist to ... も同様の意味で、It doesn't take a rocket scientist to solve the problem.は「その問題を解くのは大したことでなない」という意味になります。

ちなみにbrain surgery(脳外科手術)も略式表現では「とても難しい作業」という意味です。Just keep on doing. It's not brain surgery.(とにかくやり続けてご覧。難しい作業ではないのだから)といった用例があります。

rocketに話を戻しましょう。rocketは口語表現では「叱責、大目玉」という意味も持ちます。また、「厳しく罰する」という動詞でも使えます。ちなみにThe boy got a rocket from his father after breaking the vase.は「男の子は花瓶を割った後、父親から大目玉をくらった」です。一方、サラダの一種であるrocket saladは「ルッコラ、キバナスズシロ」という意味です。いずれもrocketはフランス語のroquetteから来ています。 



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。