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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第171回 「驚くべき事実がある」

have a sting in the tail 驚くべき事実がある

Although I didn't like that author before, I have found out that her stories have a sting in the tail. Now I am a great fan of her novels.

(昔はあの作家が好きではなかったのですが、ストーリーに驚くべき事実があることを知りました。今は彼女の作品の大ファンですね。)

a sting in the tail(驚くべき事実、辛辣な結末)はイギリスの略式表現です。「驚くべき事実」とは言え、どちらかと言えばあまり愉快でない結末が示唆されています。上記例文は「そうした辛辣さがあるからこそ、その作家のファンになった」という様子を描いています。

stingはハチなどの針や植物のとげを意味する名詞です。また、動詞としての用法もあり、ハチやサソリなどが「刺す」という意味になります。ただし、蚊やヘビの場合はbiteを使います。こうした違いも学習者向け英和辞典に詳しく出ていますので、ぜひ身近な単語ほど調べ直すことをお勧めします。

ところで1973年に公開された映画The Sting(ロバート・レッドフォードとポール・ニューマンが主演)は邦題も「スティング」ですが、このstingは俗語で「高値をふっかける」という意味です。スコット・ジョプリンの曲The Entertainerで有名になった作品です。一方、イギリスのロックバンドThe Policeのボーカルを務めたStingの本名はGordon Matthew Thomas Sumner。若いころ、ハチを連想させる黒と黄色の上着を着ていたことからStingという名前が付いたのだそうです。


第170回 「大喜びして」


like a dog with two tails 大喜びして


Since she was qualified to enter the tournament, she was like a dog with two tails..


(彼女はトーナメントの出場資格を得たため、大喜びしていました。)

今年の干支は戌ですので、今回はイヌが出てくる英語表現です。「大喜びして」は英語でlike a dog with two tailsと言います。イヌはうれしいことがあれば尻尾を振りますが、尻尾が2本あれば喜びの感情も2倍になりますよね。そのようなニュアンスです。

ただ、辞書でdogを引くと、むしろマイナス感漂う表現が多く見受けられます。たとえばrain cats and dogsは「土砂降り」、dog's dinnerは「めちゃくちゃ」、dog eat dogは「私利私欲の戦い」です。電子辞書の成句検索でdogを入れると大量に出てきます。

ところでオンラインのOxford Learner's Dictionariesでdogを入力したところ、南アフリカ英語も出てきました。be in the dogboxはbe in the doghouseと同義で、「非難の的になって」という意味です。世界にはたくさんのローカル英語があることに気づかされます。


第169回 「保留されて」

on ice 保留されて

They have put their holiday plan on ice since they needed to adjust their schedule.

(スケジュールの調整が必要となったため、彼らは旅行計画を保留しました。)

on iceは「保留されて」という句動詞で、計画などが延期される際に用いる表現です。19世紀後半ごろから使われている略式フレーズです。なお、ice自体は古代からある単語で、一説によると西暦900年よりも前に誕生したのだそうです。on iceは文字通り「氷上で」という意味もありますし、アルコールなどを「氷で冷やして」という語義も存在します。

ところで皆さんはクリスマス、どのように過ごされましたか?おいしいケーキに舌鼓を打った方もいらっしゃるでしょう。アイスケーキなどもクリスマスケーキとしておなじみですよね。日本語では「アイスケーキ」と言いますが、英語ではice cream cakeです。ice cakeと言った場合、「板氷(ばんひょう)」、つまり流氷の小さな塊を指すのです。

iceを使った英語表現は他にもあります。たとえばbreak the ice(話の口火を切る)、be skating on thin ice (危険を冒している)などがその一例です。ちなみに私は子どもの頃オランダに暮らしていたのですが、オランダ語でアイスクリームはijsでした。ドイツ語ではEisですが、フランス語はglace、イタリア語はgelatoです。調べてみたところ、スウェーデン語ではglassと言うそうです。頭文字がgで始まるあたり、何か共通点が言語学的にあるのかもしれませんね。興味深いところです。


第168回 「大盤振る舞いをする」

push the boat out 大盤振る舞いをする

Since there was a sharp increase in sales, the president decided to push the boat out.

(売り上げが大幅に伸びたため、社長は大盤振る舞いをしようと決めました。)

push the boat out は「大盤振る舞いをする、気前よくお金を払う」という意味です。主にイギリスで使われる略式表現です。お祝いや娯楽などにお金を使う様子を表します。

そもそもボートというのは一人で陸から移動させることができません。人の助けを借りてようやく漕ぎ出すことができます。そこから少しずつ意味が転じて、イギリス海軍で用いられるようになったそうです。海軍での意味は「人にアルコールをおごる」というものでした。

英語には今回ご紹介したフレーズ以外にも、海や船舶などにちなんだ表現が色々とあります。たとえばrock the boatは「波風を立てる」、navigate the difficult meeting (難しい会議をうまく処理する)、jump ship (組織を離れる)などです。考えてみれば、日本語にも「大船に乗ったつもりで」「船頭多くして船山に上る」などがありますよね。

ところで千葉県船橋市の地名由来は、市内を流れる「海老川」にまつわるものだそうです。その昔、橋を渡すのが難しかったため、小さな船を数珠つなぎのようにして橋の代わりにしたと市のHPには出ています。 


第167回 「素直に認める」

make no bones about ...~を素直に認める、~について率直に言う

I saw her going out with a new boyfriend so I asked her. She made no bones about it.

(新しい彼氏と歩いていたので彼女に聞いてみました。率直に認めていましたね。)

make no bones about ... の語源には諸説あるようです。中でも有力なのは「サイコロ遊び」から来たというもの。サイコロは昔、骨から作られていました。ただ、実際のところ、ネイティブスピーカーもこの表現の成り立ちについてはあまり知らないとインターネットの各ページには出ています。

boneを辞書で引くと、こうした珍しいフレーズが結構ありました。たとえばa bone of contention(争いの種)、throw ... a bone(人に多少の援助をする)、to the bone (節約などがぎりぎりまで)などです。「からからに乾いた」はbone-dryと言います。形容詞です。

ところで私は昔から辞書引き遊びが好きで、今でも紙辞書を広げてはどんどん「脱線」しています。たとえば今回のboneの場合、最後のeを他の母音にしたらどのような単語があるか調べるのです。bonaから連想してbonafide(真実の)、boni→bonito(カツオ)、bono→U2のBonoという具合。uならbonusですよね。私にとって既知の単語をあらためて引き直すことそのものがbonusです。



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。